朝起きれない中学生の5つの原因【解決に向けた対策・病院は何科に行くべき?】

朝生きれない中学生の5つの原因【解決に向けた対策・病院は何科に行くべき?】

朝起きられない原因は複数あり、中にはあまり知られていない、気づきにくい原因もあります。起きられない本当の原因がわかれば、解決策も見えてきます。

朝起きられない中学生の5つの原因、解決に向けた対策や病院を受診する場合は何科に行くべきかについてお伝えします。

この記事は、朝起きられないために、学校に行けないと悩んでいらっしゃる中学生とその親御さんに向けて書きました。(中学生以外の小学生、高校生、大学生、大人の方にも当てはまりますので、読んでみてくださいね。)

医師の立場で、体の仕組みから考えられる原因を解説しています。また、慢性疲労外来で、朝起きられないお子さんの治療にもあたっていますので、その経験も織り交ぜてお伝えします。

学校が大好きで学校に行きたいと思っているのに、朝起きられないために登校できないお子さんの解決への手がかりとなれたら幸いです。

友達同士の交流や学校や地域のイベントを通した子供時代の五感を通したリアルな体験は、人生の中で大きな糧になります。

起きられない状態から、少しでも早く回復できるようこの記事をご活用ください。

朝起きられない原因は、起立性調節障害だけではなく、複数の原因があります。
朝起きられない原因は、起立性調節障害だけではなく、複数の原因があります。

目次

  • 起立性低血圧・起立性調節性障害(OD)(トップ原因だけど…)
  • 体内時計の乱れ(ゲームやスマホ依存とも関係する?)
  • ストレス(心配事で熟睡できず、朝起きられないのかも?)
  • 睡眠時無呼吸症候群(寝ている時の呼吸は大丈夫?熟睡を妨げる病気)
  • 副腎疲労症候群(実はとても多い隠れた原因!)

起立性低血圧・起立性調節性障害(OD)(トップ原因だけど…)

起立性低血圧や起立性調節障害とは、自律神経(交感神経や副交感神経)の機能が低下し、立ち上がった時に脳への血流が不十分になり、頭痛、立ちくらみ・めまい、失神、動悸などの症状がみられます。

自律神経は、立ち上がった時に、血管がキュッと収縮し足に溜まった血液を上に持ち上げて、上半身(特に脳)の血流が不足しないように働きます。この働きが弱いと、起立性低血圧や起立性調節性障害の症状が起こります。

  • 立ちくらみ、失神
  • 朝の起床困難
  • 頭痛、腹痛、動悸
  • 午前中に調子が悪く午後に回復する
  • 食欲不良
  • 車酔い
  • 顔色が悪い

などの症状のうち3つ以上、あるいは2つ以上でも症状が強ければ、起立性調節障害を疑います。

病院で、診察、基本的な血液検査、内分泌学的検査、検尿、胸部レントゲン検査、心電図などを必要に応じて行います。起立性低血圧や起立性調節障害では、通常、これらの検査では異常がありません。

対処法

非薬物療法

  • 座位や臥位から起立する時には、頭を下げてゆっくり起立しましょう。
  • 立ったままじっとしている状態を1〜2分以上続けないようにしましょう。多めの水分摂取を心がけましょう(1日1.5〜2リットルが目安)。
  • 毎日15〜30分程度の歩行を行い、筋力の低下を防ぎましょう。
  • 眠くなくても、ベッドに入る時間が遅くならないようにしましょう。

薬物療法
非薬物療法で改善しない場合、または、起立保持が困難で日常生活に支障をきたしている重症例では薬物療法も併用します。

受診する科
小児科(15歳未満)、循環器内科(15歳以上)

起立性低血圧・起立性調節障害(OD)は、朝起きられない原因として診断される率が、一番多いです。

しかし、この診断で治療を行なっているにもかかわらず、なかなか朝起きられるようにならないというお子さんも、かなりいらっしゃいます。そのような場合は、以下に挙げるような原因かもしれません。

体内時計の乱れ(ゲームやスマホ依存とも関係する?)

朝、太陽の光に含まれるブルーライトを浴びることで、体内時計がリセットされます。その15〜16時間後に睡眠を促すメラトニンというホルモンが分泌され、スムーズな眠りに導きます。

体内時計の乱れは、主に、夜にブルーライトの光を浴びることで起こってきます。このブルーライトは、LEDライトや、パソコン、テレビ、スマホなどの液晶画面から多く放射されています。

夜にブルーライトを浴びると、体が朝になったと勘違いして、眠りのホルモンであるメラトニンの分泌が遅れて、寝つきが悪くなり、メラトニンの分泌が不十分になることで眠りの質も悪くなり、ぐっすり眠ることができなくなったりします。

また、朝遅くまで寝て太陽の光を浴びる時間が遅れてしまったりすると、やはり、体内時計が乱れてしまいます。

「朝起きられない」原因の中に、体内時計の乱れがあります。

体温やホルモン分泌など、体の基本的な機能は、24時間周期のリズムで調節されていますので、体調不良にもつながります。

体内時計の「時刻合わせ」に一番大きく影響するのは、光です。
朝は明るくて、夜は暗いと認識している体内時計にとって、不適切な光刺激は体内の時刻合わせを乱す原因となります。

食事も体内時計の調整に重要です。
朝ご飯にしっかりと栄養の摂れる食事をすることでも、体がしっかり目覚めます。

対処法

朝起きたら太陽の光を浴びましょう。1回だけでは効果が出ないこともあるため、2週間~2ヶ月ほど続けてみてください。

夜は、8時頃からパソコン、テレビ、スマホなどを見ないようにする。
夜は、部屋のライトも明るすぎないように調整するようにしましょう。

朝食は栄養にある食事をしっかり摂るようにしましょう。朝食も体内時計の調整に重要です。

カフェインは、なるべく取らないようにしましょう。

受診する科
小児精神科、精神科・心療内科(15歳以上)、機能性医学外来(副腎疲労外来)

ストレス(心配事で熟睡できず、朝起きられないのかも?)

さまざまなプレッシャーがあると、ずっとそのことが頭から離れず緊張が続き、夜遅くまで寝付けない、眠りが浅くなり、朝起きられず、目覚めが悪くなります。

対処法

何がストレスになっているか列挙し、手放せるものは手放し、ストレスの数を少なくする。
期限が決まっていないストレス、本人が自分で調節できないストレスは、抱えないようにしてあげる。
ストレス源から離れる、手放す、休む(環境を変える、転校など、部活動や習い事なら辞めるなど)。

受診する科
小児精神科、精神科・心療内科(15歳以上)

睡眠時無呼吸症候群(寝ている時の呼吸は大丈夫?熟睡を妨げる病気)

眠っている間に、大きないびきを繰り返したり、呼吸が数秒間止まる、あえぐような呼吸をするなどがみられる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

子供の睡眠時無呼吸症候群では、幼児期や低学年でのアデノイド肥大や扁桃肥大が原因となることが多いですが、それ以上の年代でもアレルギー性鼻炎や肥満などの原因により起こります。

空気の通り道が狭くなり、空気が無理やり通ることで、大きないびきをかきます。いびきをかくだけでなく、空気が通りづらくなり、空気が吸えず呼吸停止したりします。睡眠中に体が低酸素になることで、眠りが浅くなり何度も目覚めたり、朝なかなか起きられない、日中も注意力散漫になったりします。

対処法

軽い鼻詰まりの場合は、点鼻薬や抗アレルギー薬の使用で症状が軽くなる場合もあります。また、横を向く枕を使用した寝方で十分な場合もあります。肥満が原因の場合は、体重の減量を試みます。

重症の場合は、鼻に装着したマスクから空気を送り込むことによって、呼吸を楽にする「CPAP:シーパップ(経鼻的持続陽圧呼吸療法)」という機械を使います。

受診する科
小児の睡眠時無呼吸症候群を扱う医療機関が少ないため、小児専門病院か成人の睡眠時無呼吸症候群を診る施設を受診へ。アレルギー性鼻炎や扁桃腺の肥大などの原因がないかは、耳鼻科を受診へ。

副腎疲労症候群(実はとても多い隠れた原因!)

腰の少しにある「副腎」で、元気をつかさどる副腎ホルモンが作られます。
副腎ホルモンは、いろいろな働きをしています。
その働きの中の一つに、ストレスへの対応があります。
ストレスに晒された時に、ストレスに対応できるように働くため、副腎ホルモンは「ストレスホルモン」とも呼ばれています。

副腎疲労症候群が原因で、朝起きられなくなる場合があります。
副腎疲労症候群が原因で、朝起きられなくなる場合があります。

さまざまな種類のストレスが長い期間続くと、
適切な量の副腎ホルモン(ストレスホルモン)が出なくります。
また、副腎ホルモン(ストレスホルモン)が働くべき場所でうまく働けなくなったりします。

ストレスが強烈すぎたり、ストレスが長期にかかることで、副腎疲労症候群は起こります。

ストレスとは、精神的なものだけではありません。副腎疲労症候群を起こす原因には以下のようなものがあります。

  • 栄養不足、栄養の偏り
  • 腸内細菌のバランスの乱れ
  • 質の悪い睡眠、睡眠時間の不足
  • コロナや他のウイルス・細菌などの感染症
  • 家の中や食べ物のカビ毒
  • 食品の添加物や農薬、環境の化学物質
  • 過労(遠方への通学、過度のスポーツなどの練習、受験勉強)
  • 慢性副鼻腔炎・歯周病・アトピー性皮膚炎などの炎症性疾患

副腎疲労症候群は、朝(午前中)に症状が強く出ます。

朝、学校に間に合う時間には起きられず、無理やりなんとか起きても、吐き気や頭痛、めまい、腹痛が起きて学校に行く余裕がありません。

大人と比べ、子どもは本来疲れ知らずで、ご飯を食べて眠れば翌日はまた元気に走り回るものですが、
副腎疲労のお子さんは、疲れやすく、怠くて動く元気がない、休んでもダルさが取れない、気力が湧かない、などの症状が出ます。

そして、いくら寝ても、怠くて起きられない、起き上がる元気がありません。

午前中より午後の方が、具合が良くなる傾向があります。
ですので、学校が終わる頃に、少し動けるようになるので、学校に行けそうなのに怠けていると勘違いされやすいです。

副腎疲労症候群が中等度以上に悪化すると、朝にしっかりストレスホルモンが分泌されなくなるため、朝に具合が悪くなりやすいです。

また、副腎疲労症候群になると、ホルモンの影響で脱水になりやすいため、立ち上がった時に余計に頭への血流が保てず、クラクラしたり、頭痛がしたり、気分が悪くなりやすいです。

お子さんに当てはまるこのような特徴はありませんか?

親御さんや周囲の人からは、この症状や病態が理解されづらいので、仮病じゃないか、気持ちが弱いなどと責められたりすることがあります。また、せっかく受験して合格した学校なのに、学校が合わなかったのだなど、学校を辞めてしまったりするご家庭もあります。

お子さんご本人は、実際に気持ちを奮い立たせて無理やり動こうとしても身体がついていかず、周囲からしっかりしろと圧力がかかってもどうすることもできず、追い込まれた気持ちになることもあります。

対処法

  • 食事療法が重要です。甘いお菓子・飲み物をなるべく減らします。
  • 腸を荒らしやすい小麦や乳製品も出来るだけ少なくします。パンや麺の代わりにお米にし、定食のようなおかずのあるお食事をきちんと食べましょう。

食事の改善だけで具合が良くなるお子さんもいらっしゃいます。

副腎疲労症候群の治療で、朝起きられるようになるお子さんがいます。

また、精神的なストレス以外の体の負担となっているものを明らかにして、取り除いていくことが必要です。
例えば、衣類の防虫剤や芳香剤など、環境化学物質を身の回りに置かないようにします。

それでも改善が見られない場合は、

体にストレスとなっている上記のような要因について、精神的なストレス以外に何が負担となっているか海外の検査で調べます。そして、検査の結果に合わせて、1つずつ体の負担を取り除いていく治療をしていきます。負担になっているものを取り除いてあげることで、起きられない症状も改善していきます。

副腎疲労症候群は、副腎ホルモンが産生できなくなる副腎不全(アジソン病)とは別の病態です。内分泌の専門医の先生でも、まだ副腎疲労症候群という病態を知らない先生がまだまだ多いです。

➡︎「医者も知らないアドレナル・ファティーグ」

受診する科
副腎疲労外来、栄養療法外来、分子栄養療法外来、機能性医学外来など

➡︎不登校の根本原因は体の中に?【知られざる副腎疲労症候群】

まとめ

 
 このように、朝起きられない原因は、いくつかあります。怠けているわけではなく、実際に体の中に原因があって起きられない場合があります。
 
 睡眠時無呼吸症候群は、お子さんの眠っている間の呼吸の状態から、だいたい判断できます。
 
 「病院で検査して異常なし」=「起立性調節障害」という診断になるのがほとんどです。
 しかし、一般の検査で異常なしの中には、体内時計の乱れやストレス、副腎疲労症候群の場合もあります。
 
 原因に合わせた治療により、起きられない症状を改善させ、お子さんに楽しい学校生活、いろいろな子供時代ならではの楽しい体験をさせてあげたいですね。
 
 
 
 

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